2025/12/26
DX
セルフラーニングで社員が育つ|企業がやるべきこと

目次
セルフラーニングとは?今なぜ企業で重要なのか
「セルフラーニング(自律的学習)」とは、会社から与えられた研修を待つのではなく、社員一人ひとりが自ら課題を見つけ、学ぶテーマや手段、ペースを主体的に選んで学習するスタイルのことです。自習・自己啓発・リスキリングなど、呼び方はさまざまですが、共通しているのは「学びの主導権が本人にある」という点です。
世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report 2025」では、技術革新の加速により、2025年までに全従業員の約50%が何らかのリスキリングを必要とすると指摘しています。 つまり「入社時のスキルセットだけでは、キャリアの途中で通用しなくなる」時代です。
日本でもデジタル人材不足やDXの遅れが課題となる中、IPA(情報処理推進機構)は「個人の自律的な学びを促進する企業ほど、競争力強化に成功している」と報告しています。 会社任せではなく、社員が自ら継続的に学ぶ仕組みづくりは、もはや「好ましい取り組み」ではなく「生き残るための前提条件」と言えます。
とはいえ、多くの現場ではまだ「研修=人事が用意するもの」という発想が根強く、「セルフラーニングを促したいけれど、どう設計すれば良いかわからない」という声も少なくありません。本記事では、セルフラーニングの重要性を整理したうえで、「社員が自分から学び続ける状態」を会社としてどう設計・定着させるかを、動画マニュアルやLMS(学習管理システム)も絡めながら具体的に解説します。
セルフラーニングと従来型研修の違い
| 項目 | 従来型(会社主導の研修) | セルフラーニング(自律的学習) |
|---|---|---|
| 学習の主導権 | 人事・上司がテーマや実施時期を決める | 本人がテーマ・手段・ペースを選ぶ |
| 学ぶタイミング | 年1回の集合研修など限定的 | 必要だと思ったときに随時 |
| コンテンツ形式 | 集合研修・紙マニュアル・座学中心 | 動画マニュアル・eラーニング・書籍など多様 |
| 目的 | 会社が求める最低限の知識の付与 | 本人のキャリアや業務課題に直結したスキル向上 |
| 継続性 | イベント型で一過性になりやすい | 習慣化されれば半永久的に続く |
セルフラーニングは「研修の代わり」ではなく、研修を土台としながら日常的な学びを積み上げていくための重要なピースです。特に動画マニュアルやLMSと組み合わせることで、「いつでも・どこでも・何度でも」学べる環境を作りやすくなります。
セルフラーニングが社員と企業にもたらすメリット
1. 社員の市場価値とキャリア自律が高まる
リクルートマネジメントソリューションズの調査では、1年以上学びを継続している会社員の多くが「キャリアの選択肢を増やしたい」「自分の強みを伸ばしたい」といった理由から自律的な学びに取り組んでいると報告されています。
セルフラーニングが根付いた社員は、
- 自分の強み・弱みを客観的に把握できる
- 興味や志向に沿ったスキルを深掘りできる
- 社内外のキャリアの選択肢を自ら描ける
といった特徴を持ちます。結果として「会社に依存する」のではなく、「会社と対等な関係で共に成長する」スタンスに変わり、エンゲージメントも高まりやすくなります。
2. 業務スピードと問題解決力の向上
セルフラーニングする人は、業務でつまずいた際に「誰かに聞く前に自分で調べる・試す」が当たり前になっていきます。特に、
- 動画マニュアルで手順やナレッジをすぐ確認できる
- LMS上で過去の研修動画や資料を検索できる
- 社内FAQやマニュアルと外部の学習コンテンツを組み合わせて活用できる
といった環境が整っていれば、問題が起きるたびに上司やベテラン社員の時間を奪うことなく、自己完結できる場面が増えていきます。
3T’sのような動画マニュアル×LMSの仕組みでは、「誰が・いつ・どのマニュアルを・どこまで視聴したか」を記録できるため、セルフラーニングの履歴がそのまま「スキルの可視化」にもつながります。
3. 組織全体の変化対応力・イノベーション力が高まる
技術やビジネスモデルの変化が激しい今、「会社が決めた研修だけ」では、変化のスピードに追いつけません。各自が興味や危機感にもとづいて新しい情報を取りにいくことで、
- 現場から新しいツールや手法の提案が出てくる
- 他社事例や最新トレンドを踏まえた業務改善が進む
- 部署や世代を超えた知識共有が活発になる
といったポジティブな連鎖が生まれます。セルフラーニングは「個人のための活動」であると同時に、「組織の進化スピードを上げる装置」でもあるのです。
セルフラーニングが続かない理由と、よくある勘違い
1. 「やる気があれば勝手に勉強する」という思い込み
セルフラーニングが根付かない原因としてもっとも多いのが、「本人のやる気任せ」にしてしまうことです。IPAの調査でも、先進企業ほど「自律的な学びには、組織側の環境整備や働きかけが不可欠」と強調されています。
具体的には、
- 業務時間中に学習時間を確保する制度がない
- 「勉強している社員」がかえって浮いてしまう文化がある
- 学んだ内容を活かす場やフィードバックがない
といった状況では、どれだけ意欲のある社員でも継続は困難です。「やる気」はきっかけになりますが、「続けるかどうか」は環境と仕組みでほぼ決まります。
2. 研修とセルフラーニングを切り離して考えてしまう
多くの企業では、
- 研修=人事・教育担当が企画するもの
- セルフラーニング=社員の趣味・自己啓発
のように、別々のものとして扱ってしまいがちです。しかし、理想的なのは「研修をきっかけにセルフラーニングへつなげる」設計です。
例えば、
- 研修の内容を動画マニュアル化してLMSにアーカイブする
- 研修後も、関連動画や補足教材をセルフラーニング用に配信する
- 研修とセルフラーニングの両方のログを一元管理する
といった工夫をすることで、「イベントで終わる研修」から「日常につながる研修」へ変えていくことができます。
3. 「スクールに通わせる=自律的学習の支援」と思ってしまう
語学スクールや外部セミナーの受講費用を補助する制度は有効ですが、それだけではセルフラーニングは定着しません。大切なのは、
- 学ぶ目的や期待される役割を本人とすり合わせること
- 受講後にどの業務で活かすかを具体的に決めること
- 学びの成果をチーム内で共有する場を用意すること
です。外部の学びと社内の動画マニュアル・LMSを組み合わせて、「学んだ内容を社内に還元するサイクル」を作ることが、真のセルフラーニング定着につながります。
社員にセルフラーニングを定着させる7ステップ
ここからは、実際にセルフラーニングを組織に根付かせるためのステップを、具体的に整理します。

ステップ1:経営・マネジメントが「学び」を明言してコミットする
まず大前提として、「学びは業務の一部である」というメッセージを経営・マネジメント層が繰り返し発信する必要があります。
- 経営メッセージやバリューに「学び・成長」を明示する
- 経営陣や部門長自身が学んでいる姿を見せる(読書・資格・外部講演など)
- 社内イベントやキックオフで、セルフラーニングの重要性を語る
トップが「学びを奨励する」と明言しない限り、現場では「忙しいのに勉強なんてして大丈夫か」という空気が生まれやすくなります。
ステップ2:業務時間内に学習の「枠」を正式に確保する
セルフラーニングを「プライベート時間の善意」に頼っている限り、継続は難しいものです。おすすめは、
- 週1〜2時間を「学習時間」として就業規則・運用ルールに明記する
- 部署・チーム単位で「この時間帯は学習OK」とカレンダーでブロックする
- 動画マニュアルやeラーニングの学習を「れっきとした勤務」として取り扱う
といった「時間の枠」を先に作ることです。「時間がないから学べない」という最大の障壁を、会社側のルールで取り除きます。
ステップ3:動画マニュアルで「最初の一歩」を極限まで下げる
最初のハードルが高いと、学びは習慣化しません。そこで有効なのが、動画マニュアルやマイクロラーニングの活用です。
- 1本3〜10分程度の短い動画マニュアルに分割する
- 「今の業務に直結するテーマ」から先に動画化する
- LMS上でカテゴリやレベル別に整理し、「次に何を見れば良いか」がすぐ分かるようにする
3T’s Learningのような動画マニュアル作成ツールを使えば、現場社員が自らノウハウを動画化し、それをLMSと連携して配信・管理することが可能です。 「学ぶ側」だけでなく「教える側」の負担も軽減されるため、セルフラーニングの土台づくりとして非常に相性が良い方法です。
ステップ4:キャリア・評価制度とセルフラーニングを接続する
人は「評価されないこと」にはなかなか時間を投じません。セルフラーニングを評価制度と紐づけることで、学びを「良いこと」から「やるべきこと」へと格上げできます。
- LMSの学習ログをもとに、学習時間・完了コンテンツ数を可視化する
- 半期目標に「業務関連の学習目標」を1つ以上入れることを必須にする
- 昇格要件に「指定コンテンツの修了」「動画マニュアルの作成・共有」などを組み込む
ポイントは、「量」だけでなく「活用度」も評価することです。例えば「学んだ内容を現場にどのように活かしたか」を1on1や評価面談で必ず聞くようにすると、単なる受講数稼ぎを防ぐことができます。
ステップ5:学びを共有する場を設計し、アウトプットを促す
インプットだけでは学びは定着しません。共有・アウトプットを仕組み化することで、セルフラーニングが「個人の活動」から「組織の資産」へと変わっていきます。
- 月1回の「学び共有会」を設定し、1人5分のライトニングトーク形式で発表してもらう
- 学びの内容を元に簡単な動画マニュアルを作成し、LMSに登録してもらう
- 社内SNSやチャットに「#学びメモ」チャンネルを作り、気づきを気軽に投稿できるようにする
「自分が学んだことを誰かの役に立てられた」という実感は、セルフラーニングを継続するうえで何よりも大きなモチベーションになります。
ステップ6:マネージャーが「学びのコーチ」になる
現場マネージャーのスタンス次第で、セルフラーニングの定着度は大きく変わります。理想的なマネージャー像は「答えを与える人」ではなく「学びへの道筋を一緒に考えるコーチ」です。
- 部下が「わかりません」と来たときに、「まずはこの動画マニュアルを見てからもう一度考えてみよう」と返す
- 1on1で「最近どんなことを学んだ?」「今後どんなスキルを伸ばしたい?」を必ず聞く
- 自分自身の学び(参加したセミナー・読んだ本・視聴した動画)も積極的に共有する
こうしたマネジメントの変化が、「学びが当たり前のチーム文化」を形作っていきます。
ステップ7:データをもとに施策を改善し続ける
セルフラーニングは「やって終わり」ではなく、データをもとに改善を続けることが重要です。LMSや動画マニュアルの視聴データを活用すれば、
- どの動画がよく見られているか/途中離脱が多いか
- どの部署・階層が学習量が多いか/少ないか
- 学習量と業績・エンゲージメントとの相関
などを分析できます。視聴完了率が低いコンテンツは短く編集したり、難易度別に分けるなどの改善を行うことで、「学びたいけれど続かない」を減らしていくことができます。
動画マニュアル・LMSを活用した具体的な仕組みづくり
1. 「動画×LMS」でセルフラーニングの入り口を統一する
セルフラーニングを進めたい企業でよくあるのが、「学習コンテンツがあちこちに散らばっていて、何から手を付ければいいか分からない」という問題です。この問題を解決するには、「動画マニュアル×LMS」で入り口を一本化するのが効果的です。
具体的には、
- 3T’sのような動画マニュアルツールで業務ナレッジを動画化する
- それらをLMSに登録し、カテゴリ・レベル別に整理しておく
- 社員はLMSのポータルにアクセスすれば、必要な学習コンテンツにすぐたどり着ける
という状態を作ります。LMS側の機能で、視聴後にクイズやアンケートを出題し、理解度や満足度を記録しておけば、「学んだつもり」を防ぐこともできます。
2. マイクロラーニング設計のポイント
セルフラーニングを前提とした動画マニュアルは、「短く・具体的に」が鉄則です。特におすすめの設計は次の通りです。
- 1本あたり3〜10分程度の長さにする
- 1動画1テーマに絞り、「この動画を見たら何ができるか」を明確にする
- 冒頭30秒で「ゴール」「対象者」「所要時間」を伝える
- 最後に「次に見るべき動画」を1本だけ案内する(LMS側でレコメンド)
これにより、「とりあえず1本だけ見てみよう」という心理的ハードルを下げつつ、自然と学びが連鎖していく構造を作ることができます。
3. 新入社員〜ベテランまでの「レベル別学習ロードマップ」を用意する
セルフラーニングを完全に本人任せにすると、「何をどの順番で学べば良いか分からない」という問題が起きます。そこで有効なのが、階層別・職種別の「学習ロードマップ」を用意することです。
例として、動画マニュアルとeラーニングを組み合わせたロードマップは次のようなイメージです。
- 新入社員向け:ビジネスマナー、社内ルール、基礎業務手順の動画マニュアル
- 若手社員向け:業務改善・コミュニケーション・デジタル基礎スキル
- リーダー層向け:マネジメント・1on1・評価フィードバック
LMS上でコース化し、「この職種・この階層なら、まずはこのコースから」という「おすすめルート」が見えるようにしておくと、社員は迷わず学びを進められます。
4. Z世代・ミレニアル世代に刺さる動画学習のコツ
3T’sブログでも紹介されている通り、Z世代・ミレニアル世代は動画コンテンツとの相性が非常に良い一方で、「長くて冗長な動画」はすぐに離脱されてしまいます。 次のポイントを意識すると効果的です。
- テンポの良い編集と、シンプルなスライド・画面共有を心がける
- 実務の画面キャプチャや現場映像を多用し、「明日から使える」感を出す
- 必要以上のテキストは載せず、重要キーワードだけを画面に表示する
「スマホで倍速視聴される」ことを前提に設計すると、自然と無駄の少ないコンテンツになり、セルフラーニングの継続率も高まりやすくなります。
5. 小さく始めて、成功事例を社内で横展開する
最後に大切なのは、「完璧を目指してスタートが遅れるより、小さく始めて改善し続ける」ことです。まずは、
- 1つの部署・1つの職種に絞って動画マニュアルとセルフラーニングの仕組みを導入する
- 3〜6か月ほど運用し、「業務時間削減」「ミス削減」「習得スピード向上」などの成果を測る
- うまくいったポイント・躓いたポイントを整理し、社内勉強会で共有する
というサイクルを回していきましょう。成功事例が1つでも生まれれば、「うちの部でもやってみたい」と自発的な動きが出てきます。
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まとめ
セルフラーニングは、社員一人ひとりの市場価値とキャリア自律を高めるだけでなく、企業全体の変化対応力・競争力を押し上げる「戦略投資」です。しかし、本人のやる気任せでは決して定着しません。経営のコミット、業務時間内の学習枠、動画マニュアルとLMSを軸にした仕組み、評価制度との連動、そして学びを共有する文化づくり。この5つをセットで設計することで、社員が自ら学び続ける好循環が生まれます。まずは小さく始めて成功事例を作り、そのストーリーを社内に広げていくことが、セルフラーニング定着の近道です。
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