2025/11/05
動画マニュアル
マシンタイムを最大化する方法|停止時間の見える化から段取り短縮・教育まで完全ガイド

目次
マシンタイムとは:現場で使う実務的な定義
マシンタイムは、設備が価値を生むために「実際に動いている時間」のことです。一般には、設備稼働時間の中でも価値作業(切削・成形・搬送・検査など機械による自動工程)が占める時間を指し、OEE(設備総合効率)の中核となります。混同されやすいのが「サイクルタイム」「タクトタイム」「段取り時間」。本記事では、それぞれを切り分け、改善に直接効く計測と管理手順を示します。
| 用語 | 実務定義 | 主データ源 | 短縮の主なアプローチ |
|---|---|---|---|
| マシンタイム | 機械が自動運転で加工・検査等を行う時間 | PLC/稼働ログ、設備HMI、IoTセンサー | 切削条件最適化、自動化、治具改良 |
| サイクルタイム | 1個を完了する総時間(人待ち・段取り含む場合あり) | ストップウォッチ、動画分析 | 作業統合、同時化、レイアウト見直し |
| タクトタイム | 需要に合わせた1個当たり許容時間 | 受注・計画 | 平準化、ラインバランシング |
| 段取り時間 | 品種切替の準備・段替えに要する時間 | 現場観察、動画分解 | 内外段取り分離、クイックリリース化 |
マシンタイムを増やす基本式:どこを測って、どこを削るか
計測の黄金則:まず「分類」を決める
改善は計測から始まります。停止理由や時間の分類が曖昧だと効果が固定化しません。現場合意を取り、以下の5区分で統一するのが実務的です。
- 価値稼働(マシンタイム)
- 準備・段取り
- 小停止(<10分の詰まり/チョコ停)
- 故障・修理
- 待ち(材料/段取り者/検査/指示待ち)
可視化の最短ルート:設備ログ+動画
PLCやHMIの稼働ログで「いつ止まったか」は分かりますが、「なぜ止まったか」は現場映像が強力です。動画マニュアル化しておくと、停止直前の操作や材料投入の癖まで分解でき、教育資産にもなります。
改善ロードマップ:90日で成果を出す現場手順
Phase 1(0〜2週):現状把握とタグ設計
- 生産1ラインを対象に、停止理由のマスタ(5〜12項目)を定義。
- 稼働ログの出力設定(5分粒度→1分粒度へ改善が理想)。
- 代表品目で10サイクルを動画撮影し、工程表と突合。
Phase 2(3〜6週):ボトルネック特定と対策設計
- 停止時間パレート図(上位3要因に絞る)。
- 段取りは「内外段取りの仕分け表」を作成。治具・工具の共通化/先準備を設計。
- 小停止は「発生→発見→復帰」時間を分解し、センサー位置や排出角度を微修正。
Phase 3(7〜12週):標準化と横展開
- 成功手順を動画マニュアル化(最短版60〜90秒、詳細版3〜5分)。
- 点検・清掃・給油など日常保全をチェックリスト化し、動画とQRで現場配布。
- 教育KPI(習熟時間、初回合格率、チョコ停発生率)をダッシュボードで共有。
具体施策:マシンタイムを直撃する4つの打ち手

1. 段取り時間の半減
- 内段取り(停止中しかできない)と外段取り(稼働中に準備可)を分離。
- 位置決めはダボ・ピンで“一発決め”、トルク管理はクイック方式に統一。
- 段替えチェックリストを動画化し、作業順番と工具準備を標準化。
2. 小停止の撲滅
- 詰まりは「発生源(形状/滑り/姿勢)」を動画で特定し、シュート角度やエア吹き位置を5mm刻みで調整。
- フィーダやセンサーは「誤検知→復帰」までの時間を計測し、閾値と復帰ロジックを最適化。
3. 自動サイクルの最適化
- 加工条件(速度・送り・深さ)の探索は、品質限界の安全域を設定し段階的に上げる。
- 非加工走行や待機時間は並列化・重畳化を検討(例:排出と次品供給の同時化)。
4. 教育のボトルネック解消
- 技能のバラつきはマシンタイムの安定性を崩します。最良手順を動画で見せ、NG例とデュアル表示で比較学習。
- 新人は「最短版→詳細版→現場実習」の三段階で習熟時間を短縮。
見える化テンプレ:日次ミーティングで使う最小セット
日次ボードの構成(A3一枚)
- 前日OEE(可動率×性能×良品率)と上位3停止要因
- 段取り実績(目標対比、外段取り化率、ミスゼロ回数)
- 教育進捗(動画視聴完了率、現場テスト合格率)
停止要因パレート(例)
| 要因 | 時間 | 比率 | 初期対策 |
|---|---|---|---|
| 段取り | 210分/日 | 34% | 治具共通化、外段取り化 |
| 小停止 | 160分/日 | 26% | センサー閾値・排出角調整 |
| 材料待ち | 120分/日 | 20% | 補充の定時化・2ビン方式 |
| 故障 | 90分/日 | 15% | 予防保全、重点部品の予備化 |
| 検査待ち | 40分/日 | 5% | 抜取タイミングの前倒し |
動画マニュアルの活用:マシンタイム最大化との相性

なぜ動画が効くのか
- 「なぜ止まるか」を行動レベルで特定できる(操作順・姿勢・持ち替えなど)。
- ベストプラクティスを全員へ横展開でき、習熟のバラつきが減る。
- 更新が容易で、標準手順の陳腐化を防げる。
おすすめの作成フォーマット
- 60〜90秒の超要点版(現場掲示のQRで即視聴)。
- 3〜5分の詳細版(NG例と正解例をデュアル表示)。
- 補助PDF(工具リスト、トルク値、チェック項目)。
教育KPIと稼働ログを紐づけると、「動画視聴→小停止減→マシンタイム増」の因果が見え、投資効果を説明しやすくなります。
導入チェックリスト:今日から動ける実務ポイント
- 停止分類の共通マスタを決めた(5〜12項目)。
- 稼働ログの粒度は1分以下、理由はプルダウンで当日入力。
- 代表品目を動画化し、手順書と差分を洗い出した。
- 段取りは外段取り化率をKPI化、週次で進捗レビュー。
- 教育は最短版→詳細版→現場テストの三段階で運用。
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まとめ
マシンタイムは「機械が価値を生む時間」。増やす近道は、停止の正確な分類と原因の可視化、そして段取りの外段取り化と教育の標準化です。稼働ログ×動画の二刀流で、90日計画を回せば小停止と段取りが目に見えて減少。OEEの底上げと生産計画の安定化に直結します。
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