2025/08/25
動画マニュアル
動画マニュアルが使われないのは“検索性”不足:シーン設定とチャプター設計、進捗管理、QRコード導線で見つかる資産に
目次
動画が使われない原因は「検索性」と「導線」
動画マニュアルは“読む”より“探す”が先です。長尺動画のどこに答えがあるのか外から見えにくいため、字幕(テキスト化)とチャプター(章立て)、そして構造化データで“機械に伝わる”形に整えることが最優先。さらに現場では、QRコードから目的の秒数へ一気に飛べる導線が効果的です。字幕はアクセシビリティ改善と同時に検索対象を増やし、チャプターは目的箇所へのジャンプ性を高めます。
核心原因:メタデータ欠如・章立て不在・進捗が見えない
字幕/文字起こしがない
音声だけの動画は検索に弱く、WebVTTで字幕やチャプターを付けると、時間情報とテキストが結び付き、内部検索・外部検索の双方で発見可能性が上がります。
チャプター(章立て)がない
YouTubeの動画チャプターのように、区切りとラベルを付けるだけで、再視聴や該当箇所ジャンプが容易に。社内動画でも同様の考え方が転用できます。
構造化データ未対応
公開サイトや社外向けヘルプでは、VideoObjectとSeekToActionを用いると、検索エンジンがキーモーメントを理解し、該当秒へ直接リンクできます。
進捗が見えない・測れない
Microsoft Stream(SharePoint上)は視聴分析・視聴維持グラフを提供。YouTubeもキー・モーメントで離脱点が把握できます。LMSやLRSではxAPIで視聴・章クリック等の細かな体験を記録可能です。
いますぐできる改善5ステップ(シーン×検索×進捗×QR)

1. シーン設計(ユースケース×ジョブ)
まず動画を“利用シーン”で分解します(例:レジ障害対応/新人オンボーディング/SaaS設定変更)。各シーンに検索語を含む章ラベルとシーンタグを対応付け、タイトル・説明・タグに反映させます。これにより検索一覧で“自分ごと化”され、クリック率が上がります。
2. 字幕を資産化(WebVTT推奨)
自動文字起こし→人手で校正→WebVTTで書き出し→CMS/ポータルへ添付。字幕テキストは全文検索のインデックスにも流用し、該当秒へジャンプできる導線を標準装備にします。
3. チャプター設計&タイムスタンプURL
1チャプター=1ジョブ(用事)。章ラベルに実務用語を入れ、冒頭に目次を掲示。開始時刻付きURL(例:3分12秒から)をマニュアル・FAQ・チャット回答に貼る運用を標準化します。YouTubeのチャプター/TimestampやSeekToActionの設計思想は、社内用でも有効です。
4. 進捗管理:Stream/YouTube/LMS×xAPI
- 社内配信(Microsoft Stream):視聴回数、視聴維持、視聴者数を把握し、離脱点を特定。重要章は別クリップ化してトップリンクに昇格。
- YouTube(限定公開):“キー・モーメント”を確認し、チャプター名とサムネイルを改善。
- LMS/LRS:xAPI(Experience API)で「誰が/どの章を/何秒見た」を文脈付きで保存。SCORMより粒度の細かい追跡が可能。
5. QRコードで“現場直行”
現場ポスター、手順書、機器本体にQRコードを掲示し、該当チャプターのURLへ直接遷移。印刷時は静かな余白(Quiet Zone)と十分なサイズ・コントラストを確保します(QRは四辺4モジュール以上のQuiet Zoneが推奨)。スマホUIのコントラスト配慮も忘れずに。
プラットフォーム比較(使いどころ早見表)
手段 | 検索性 | 章立て/タイムスタンプ | 進捗管理 | QR連携 | 導入コスト | ひと言メモ |
---|---|---|---|---|---|---|
共有フォルダ(mp4置き場) | 低(ファイル名頼み) | 手動 | なし | 可能(直リンク) | 低 | 当座はVTT添付と命名規則で改善 |
社内Wiki+埋め込み | 中 | プラグイン次第 | ページ閲覧は可、秒精度は工夫要 | 可能 | 中 | 目次・要約・秒指定リンクを標準化 |
YouTube(限定公開) | 中〜高 | 標準で強力(章・タイムスタンプ) | キー・モーメント分析 | 容易 | 低 | 外部公開や採用向けに最適 |
Microsoft Stream(SharePoint) | 高(M365横断) | 可(字幕・検索強い) | 視聴分析/維持率 | 容易 | 中 | 社内向けの王道。ポリシー連携が楽 |
LMS+xAPI(LRS) | 高(要実装) | 柔軟(任意イベント) | 細粒度トラッキング | 容易 | 中〜高 | 教育体系/評価と連動しやすい |
運用とKPI:検索ログと視聴データで磨き込む
- TTA(Time to Answer):検索→該当秒の到達時間。字幕語彙や章ラベル改善で短縮。
- ゼロヒット率:社内検索でヒット0の割合。字幕・タグ語彙の拡充対象を特定。
- チャプターCTR:目次→各章クリック率。低い章はラベルと要約の見直し。
- 視聴維持のキー・モーメント:離脱点を次回編集で前倒し提示・補足。
まとめ

動画マニュアルが使われない最大の理由は検索性と導線の不足です。まずは(1)シーン設計でユーザーの“用事”を言語化し、(2)字幕(WebVTT)と(3)チャプター+タイムスタンプURLで“探せる単位”を作る。(4)進捗管理はStreamやxAPIで可視化し、(5)QRコードで現場から該当秒へ直行できる導線を整備。これらをKPIで回せば、動画は“長くて見ない”から“最短で答えに到達する資産”へと進化します。
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